真珠養殖の話
真珠は,ネックレスやピアス,イヤリングなどアクセサリーとして重宝されています.アクセサリーとして使用される球形の真珠は,養殖によって作製されています(球形の真珠核を使うので真珠は球形になります).日本で養殖される真珠の多くは,アコヤ貝を使ったもので,あの真珠独特の「パールホワイト」色を示します.黒真珠は,アコヤ貝では作製できず,黒蝶貝などを使用します.貝殻を球形に加工した「真珠核」をアコヤ貝や黒蝶貝の内部に入れて,貝に真珠を作らせるものですが,アクセサリーとして流通できる高品質のものはわずかで,アクセサリー用の真珠としての収量はあまり多くありません.貝が入れた核を吐き出してしまったり,成長過程で貝が死んでしまったり,収穫できたとしても色合いがよくなかったりと,非常に難しいものです.通常,貝殻は「炭酸カルシウム」と「タンパク質」がミルフィーユ状に積み重なった構造ですので,人間の体にある骨によく似た構造です.また,海水中も体内もどちらも塩水環境です.そこで弊社では,インプラントの生体適合性向上のために培った改質技術を応用し,真珠核を表面処理し,養殖真珠の収量向上,品質向上のための実証試験を行っています.ただし,インプラント金属に対して行った処理と同様の処理を施しますと,貝殻核が破壊してしまいますので,真珠核特有の処理法を考案し使用しています.一般にも,「バイオ核」なる特殊核も市販されていますが,弊社では,「ノーマル核」と言われる通常の真珠核を使用しています.実証試験では,アコヤ貝(愛媛県)と黒蝶貝(タヒチ)を用いています.さらに,貝の真珠層生成の学問的探究のため,貝殻の真珠核の代わりにポリマー樹脂を表面処理したものも用いて研究を行っています.
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