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海藻養殖の話 よくマスコミで魚の養殖の話を耳にしますが,海苔や昆布などの海藻の養殖も多くの場所で行われています.海藻の多くは陸上ではなく海中行われるため,気温(水温)によっては養殖に不向きな地域もあります.海洋環境に恵まれているとの印象が強い日本ですが,現在,気候変動や環境変化によって海藻類の危機に直面している地域がじわりじわりと拡がっています.海藻がなくなると,魚がいなくなり,まさに海が死んでしまうことと直結しています. 食用に用いられる海藻の種類は多いですが,その代表として海苔,昆布が挙げられます.一般に販売されている海苔や昆布の多くは,海中養殖によって賄われています.これらの養殖にはポリマー(ビニロン製)の網やロープが使用されます.養殖では,ポリマー製のロープに,海苔や昆布の種(胞子)を着けて海中で成長させる手法がとられています.しかし,養殖に使うロープの表面処理は行われおらず,時間と手間をかけてロープの撚り目に胞子を接着させ,この胞子を海中で成長させ,食用として出荷されます.弊社では,この時間と手間を省き,さらに深刻化する漁師さんたちの高齢化にも対応するため,ポリマー材料表面を改質したロープを使った海苔・昆布の成長実験を行っています.養殖に使用するのは上述の通りポリマー樹脂製のロープですから,弊社がこれまでに培ってきました「ポリマー樹脂の前処理・表面改質」の手法を応用転用しています.また養殖では一般に,胞子定着作業を行いますが,弊社実験では,海中に自然状態で存在する胞子の定着を期待し,意図的に胞子定着を行わずに実験を進めています. この実験が一定の成果を修めることできれば,海藻が全くなくなってしまった海中に,表面処理した(場合によっては胞子を定着させた)ポリマー材料を設置し,海藻の再生・海の再生を目指します.さらに,海苔や昆布などの光合成をする海藻は,海水中(すなわち空気中)の二酸化炭素の効果的な吸収媒体として使用できるなど(一般に杉の木より昆布の方が二酸化炭素吸収効率は高いと言われています),地球環境ほ保全にも大いに役立つ研究と言えます, |
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