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インプラントの話
 「インプラント」とお聞きになると,歯根などの「歯科インプラント」を想像される方も多いと思います.しかしインプラント(implant)とは,体内埋植材を意味する一般的な英単語ですので,病気やケガなどで体内に入れてらっしゃる方の多い人工関節や骨固定プレートなども当然,インプラントです.ここでは,これら体内埋植部材の表面処理についてお話しいたします.
 インプラントには,金属やセラミックスなどの1種類の素材から作られているものや,これらを組み合わせて臓器そのものの(あるいは臓器の補助の)働きをするパッケージとして作られているものもあります.ここでは,体内組織と直接触れる部分,歯科インプラントならそのもの,パッケージなら最表面にある素材についてのお話しです.このようなインプラントを体内に埋植した場合,「拒否反応」や「拒絶反応」,「炎症」が,程度の差はあれ,必ず生じます.これにより,体内でインプラントと体がなじむ(治癒する)時間が大きく変わり,場合によっては,再手術や取り出しといった大変な状況(いわゆる,思わしくない状況)になってしまいます A).例えば,人工歯根を下顎に埋め込んだが,下顎骨としっかり着かない場合などです.このような状況にならないように,あるいは少しでも状況を改善するため,インプラントの多くに表面処理が施されてきましたし,今でも多くのインプラントに表面処理がなされています.その代表例が,「水酸アパタイト(ハイドロキシ(ヒドロキシ)アパタイト,単にアパタイト)」コーティングです.これは,人骨の硬組織の主成分である水酸アパタイトをインプラントにあらかじめ着けておくと,体に速くなじむのではという発想によるものです.しかし多くの臨床結果に基づき,水酸アパタイトをコーティングしたインプラントは現在ではあまり使用されなくなってきたのも事実です.弊社では,20年以上にわたってインプラントの表面処理に関する研究を続け,今では,コーティング層のない高生体活性インプラントの開発に成功しました(特許取得済).生体活性のカギは,我々の体内に多量にあるタンパク質の挙動に関係があるとの発想に基づき,これを実証してきました.さらに,この発想に基づいたインプラントの表面処理法を開発いたしました.この発想に基づけば,素材として金属に限定する必要がなく,ポリマー材料やセラミックス材料に対しても有効である,さらには炎症性も低下することを動物実験により実証し,特許も取得いたしました.しかしこの表面処理に基づいて製造されたインプラントは,大人の事情によって一般には使用されていませんが,海洋中での使用などの他の分野での実証評価が始まっています.


A) 骨としっかり着く必要がある場所や力がかかる場所には,通常,金属製のインプラントが使用されます.その多くは,チタンやステンレスなどで,体内に留置する期間などにより,医師あるいは歯科医師が決定します.



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