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コーティング前処理の話A (ポリマー)
 多くの場合,プラスチックなどのポリマー樹脂に金属やセラミックスに対する処理と同じ処理は行えません.みなさんよくご存じの通り,ポリマー樹脂に熱をかけたりすると変形してしまったりするように,それほど強いものではないのです.当然,電子レンジで使えるような耐熱性ポリマーもありますが,それでも耐熱温度は金属やセラミックスに比べると低いのです.一般には,最も高温まで耐えるポリマー樹脂はテフロン(化学名:ポリテトラフルオロエチレン.PTFE)ですが,それでも250℃程度です.ポリマー材料表面は一般には水をはじく疎水性を示しますので,これを親水性にするために,有機合成を専門とされる方は,既存のポリマー表面に親水性の官能基(水酸基やカルボキシ基)をつける処理を施します.もちろんこの処理によって表面は親水性に変化しますが,ポリマーの種類によっては,表面にコーティング層をつけなくても極めて簡単に親水性を作ることができます.処理の方法はポリマー材料ごとに異なりますので,ここで詳しく述べることはしませんが,現在までに弊社で親水化が難しいポリマー材料は,上述のPTFEだけです.当然,親水化したポリマー材料には水性ペンで文字を書くことも可能ですし,水性ペンキで色を塗ることもできます.しかし,親水化した金属やセラミックスと同様,親水化したポリマー材料を空気中に放置すると親水性は徐々に失われます.親水性が失われた金属やセラミックスは,再び同じ処理をすることで親水性が取り戻せますが,ポリマー材料の場合には,繰り返しの処理を施せば親水性は取り戻せますが,徐々に元のポリマー基材が痛んで,表面が荒れてしまいます.これは,親水化処理時にポリマー材料表面の結合の一部が切れていることに起因します.しかし,一旦親水性にすると,これまではポリマー材料に全く使えなかった種々の湿式の処理・コーティングが可能になります.
 弊社ではポリマー材料に対して従来から行われてきたコーティング処理はもちろん,表面親水化によってはじめて可能になったコーティング処理をも適材適所に組み合わせた手法により,前処理から簡便で確実な表面コーティングまでを一貫したプロセスで行っています.

【今までに弊社で親水化に成功したポリマー材料】
 PEEK, PES, PPS, ABS, AES, POM, PVC, EP, PCなどなど


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