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親水化・疎水化の話 「親水性(しんすいせい)」「疎水性(そすいせい)」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?聞き慣れない言葉かもしれませんが,要は,水をはじくか,はじかないかということです.水をはじく性質を疎水性,水をはじかない(濡れる)性質を親水性と呼びます.水性ペンで字の書ける表面は親水性,油性ペンでないと書けない表面は疎水性ということもできます.部材表面を親水性にすることを「親水化」,疎水性にすることを「疎水化」と呼びます.「親水性」「疎水性」という言葉は性質を表すもので,これを数値的に表す時は,「水滴接触角」や「表面エネルギー」を用います.様々な材料表面は,固有の「水滴接触角」を示すのですが,多くの場合,空気中に放置するだけでその角度が変化します.また,表面のミクロ凹凸が水滴接触角に影響をおよぼすとの意見がたびたび見られますが,ほとんどの場合,形状の違いによる誤差で,角度に変化は起こりません(見た目で変化しているように見えるだけです).ですから,もともと油性ペンキしか塗れなかった材料表面を親水化する(親水性にする)と,水性塗料が塗れるようになるのです. ではどのようにすれば,材料表面を親水性にすることができるのでしょうか?「金属・セラミックス」と「ポリマー樹脂」で考え方が全く異なりますので,分けて説明しましょう. |
【金属・セラミックスの親水化】 多くの金属やセラミックスはもともとは親水性だったのですが,空気中に置いておくことで徐々に疎水性に変化し,私たちが手にする金属・セラミックス部材は疎水性になっています.ですから疎水性になっている金属・セラミックスの表面を元に戻してやれば親水性になるわけです(金属ですと,錆(さび)が着いている場合がありますが,これをきれいに除去した後のお話しです).ではなぜ,金属,セラミックス表面は疎水性になっているのかということですが,極めて単純には,材料表面が汚れているということです.ただし,ゴミやチリなどの目に見える汚れではなく,空気中に漂っている目には見えない分子(一般にはハイドロカーボンという)が材料表面に着いている(吸着している)汚れなのです.吸着分子を表面から取り除く(超清浄化)ためには,表面にエネルギーを与えてやるだけでよく,具体的には紫外線やプラズマを照射したり,150℃以上の高温水中で処理すれば十分です.これにより,吸着分子が脱離し,もともと材料表面に存在していた水酸基(-OH)が顔を出すため親水性となります. 蛇足ですが,水酸基は極めて活性の高い官能基ですから,空気中に放置すると,この部分に特異的にハイドロカーボン分子が吸着し,汚染された表面(疎水性表面)になってしまうわけです.よって,上の方法で親水化した表面も,空気中に放置すると疎水性になりますし(汚染),これを再び上記の処理をすれば親水性に戻ります.親水性は保持することが難しい表面といえます. 【ポリマー樹脂の親水化】 多くのプラスチックなどのポリマー樹脂は金属・セラミックスとは異なり,もともとの材料表面に水酸基が存在せず,表面が汚染されていないにもかかわらず疎水性を示します.よって,金属・セラミックスの親水化で使用した超清浄化処理では,親水性表面は作れません.一般に材料表面を親水化するためには,表面に親水性官能基(水酸基(ーOH),カルボキシ基(-COOH),アミノ基(-NH2)など)を導入する必要があります.私たちは,各種のプロセスを適切に組み合わせた大変簡単な手法をポリマー樹脂ごとに考案してきました.私たちの手法では,水酸基あるいはカルボキシ基を導入するものです.ポリマー樹脂ごとにプロセスが異なりますので,ここで全てを述べることはできませんが,この手法で作製した親水性も金属・セラミックスと同様,空気中に放置すると,汚染分子の吸着によって徐々に疎水化しますが,再びの親水化のために,金属・セラミックスの親水化で使用した超清浄化処理をそのままポリマー樹脂に適用すると,ポリマー樹脂自体が破壊する危険性があります. |
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