(8) FIREして悠々自適の生活はできるかのお話
みなさま，FIRE（ファイヤー）って言葉を知っていますか？「火」もFIREですが，ここでは，経済的自立による早期退職のことを言います．本屋さんに行くと，「FIREのすすめ」みたいな本がいっぱい売ってます．どうやったらFIREできるのかといえば，ざっくり言えば，通常，使っているお金の年額の25倍の資産があればよいと言われ，年間に総資産の4%の収入があれば，FIRE時の資産を減らすことなく生活できるというものです．「私はFIREして，悠々自適の生活を送っています！」なんて文言がいろんなところにあふれていますが，では，私も含めて，皆さん，FIREできるのでしょうか？
そうです！まずは，年間いくらのお金を使っているかがわからない人は，絶対にFIREできないのです．毎月，電気，ガス，水道，携帯，食事，趣味，し好品にいくらのお金を払っていますか？毎月15万円のお金を生活費として使っている人（←そもそもこれが不明確な場合は以下の計算ができません・・・）は，年間180万円，これを25倍して，4500万円の資産を作らないといけないのです．さらに，資産を減らさないなら，4500万円の4%＝180万円の手取り収入の見込みがないといけません．もっと言えば，年間180万円の支出以外のイレギュラーな支出も見ておかなければなりません．よく言われるのが，株や投資信託などの資産運用で4%の利益を上げればよいというものです．でも，これは現実的でしょうか？私には現実的とは思えません．FIRE可能な人とは，子供が独立し，住宅ローンも終わって，あと数年で退職という人のうち，何らかの手段によって資産形成ができたほんの一握りの人だけではないかと思えるのです．
ちょっと考えてみましょう！資産4500万円のうち，2000万円を株式投資に回したとします．高配当が得られる会社の株式を保有し，年4%の配当を得たとしても80万円分．20%の税金を引かれて，65万円ちょっとの配当しかないのです．アルバイトをして年間100万円を得たとしても，まだ180万円には足りません．銀行においておいても利息はほぼゼロ．あとは，株の売り買いで15万円分の利益をコンスタントに出さないと・・・．4%の収入がなければ，最短25年で資産を使い尽くします．イレギュラーな支出があれば，25年持たないことは誰でもわかることです．しかし特別な支出がなければ，55歳でFIREし，全く働かず，遊んで暮らして，80歳で人生を終える．途中の65歳から（場合によっては60歳から）年金をもらって，もう少し長生きするなんてことを考えると，あながち無茶ではないように思えます．また，サイドFIREといって，4%以下の収入を得て，少しずつ資産を減らしていくなんていうのもあります．まさにセミリタイヤですよね．しかし，誰しも，何歳まで生きられるかという答えは持ち合わせていませんから，正解かどうかの答えを導き出すのは難しいのです．
住宅ローンを払い終えると，とたんに働く意欲がなくなる，あるいは，何のために働いているの？と思う人が出るのは当然のことです．でも，資産が〇〇万円あるからという理由だけで，仕事を辞めるかどうかを考えると，痛い目に合う場合もままあるのですよね．突然病気になったりしますし．いくらアルバイトをするからといえども，上の例では年間180万円の手取り収入を得るには，結構頑張らないといけないことはわかるはずです．ってことは，収入が少なくても，正社員でいられるならいた方が（経済的には）楽ってことですよね．もちろん，FIREすれば，経済的以外の「心の安らぎ」は得られるのですが・・・
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