(5) マスクのいらない日のお話
新型コロナウィルス(COVID-19)のまん延によってマスクのはずせない日々が続いています.今年の春からは5類感染症に変更され,あわせて屋内でもマスク着用の義務が撤廃されようとしています.コロナ感染症は,インフルエンザと同様,飛沫感染が大きな要因の一つですから,マスクをすることは「うつさない」「うつらない」ためにも重要な策と言えるのです.これは,感染症の分類が変わったからといって変わるものではないことも当たり前です.でも,分類が変わると,マスクしなくてもいいぐらいの勢いで報道がなされているのも事実です.しかし,皆さん思い出してください!コロナ感染症が蔓延する前,日本にいるほんとうに多くの人がマスクをしていたことを.そうです!マスクは,コロナのためだけのものではないのです.冬になれば,インフルエンザに感染しないようにマスクをする.真冬になると,出勤時の極寒に耐えるためにマスクをする.春先になれば,花粉から自分を防御するためにマスクをする.などなど,日本人には元々,人前でマスクをすることに抵抗はほとんどなかったのです.そして,コロナ以外の何らかの理由でマスクをしていたのです.私がカナダのトロントに住んでいた25年前,現地のテレビで放送された特集を思い出しました.「東洋人はなぜみんなマスクをするのか?」.当時,カナダでは東洋人の多くがマスクをすることが奇異に見えたのでしょう.最終的には,花粉症とインフルエンザから自分の身を守るためにマスクをするというのが結論だったのですが,ほんの5年前の自分たちの行動を思い出せば,この冬から春の時期にマスクを取るなんてありえないことと思う人が多と思います.着用の義務がなくなれば,マスクをしたくない人は取ればいいですし,したい人は続ければいいだけのことなんです.わざわざ街頭でインタビューして,「こんな割合です!」っていう報道に何の意味があるのでしょうか?そして,花粉症もコロナもインフルもなくならないわけですから,マスクをして防御したい人はする.ただそれだけの事.他人やもともとマスクをする習慣のない欧米の状況なんて比較しても何の意味もないと思うんですけど.
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