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(3) 個性を伸ばす教育のお話

 「日本人にも欧米人のように個性を伸ばす教育をしなければならない」と言われ,小中高で従来から行われてきた知識詰込み型の教育をかなぐり捨て,挙句の果て,「自由奔放教育から個性が伸びる」との妄想に基づいた教育が進められている.「何をやってもよい」との発想から本当に個性は発現するのだろうか?もちろん外見(見た目)には,様々な人が昔より増えているように思えます.でも内面的には・・・?ひとは,「何をやってもよい」と言われると何もせず,「あれをしろ,これをしろ,あれはやっちゃダメ,これもやっちゃダメ」と言われると,その隙間をすり抜けるようなことを自ら(あるいは自然に)考えるようになるのではないでしょうか.この隙間をすり抜けようとする発想自体がその個人の持つ個性につながるのではないかと考えます.与えられた規則・決まりが理不尽なものであったとしても,その規則がなくなると,個性が伸びるどころか,みんな同じ格好をし,同じことをするようになるのです.だって,規則で縛られず,何をやってもよいと言われると,何をしてよいかわからないので,みんなと同じことをしてあたり障りのない生活をするようになるということです.40年ぐらい前,愛知県の高校で「管理教育」なる教育が行われました.まるで戦時中の軍隊教育だ!と揶揄されたことも一度や二度ではないと思います.この「管理教育」とは,校則でガチガチに何から何まで学生を管理するという教育方針です.でもこんな前時代的な教育を受けた人たちには本当に個性は育たなかったのでしょうか?決してそうではないと思います.ガチガチに規則で拘束されている環境からひとたび抜け出すと,個性が一気に開花するのだと思います.やはり,「何をしてもよい」との教育の発想からは真の個性は生まれないもので,規則や決まりなどの抜け道を「考えること」こそが,知らず知らずのうちに個性を育んでいるのではないでしょうか.

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